日本のDCCはどうなる? [エピソード]

春うらら
ようやく春らしい陽気になり桜も概ね満開といったところでしょうか。
今週末は仕事と家族サービス(姪っ子のお誕生日会)です。

最近ツイッターのTLにDCC関連の話題が流れてきて自分なりに考えたりしています。
今週は屋根裏作業もできず、これといってネタもないので、日本のDCCについて思うことを無責任に書くことにしました。
賛否あると思うけど、あくまで私見なので大目に見てもらいたい。

何度も書いているけど、私が鉄道模型を始めたのは2008年12月のこと。
子供の頃にmarklinやtomixを持っていて、当時はいわゆるアナログだけの世界だった。
だから当然アナログ、と言うか、そもそもアナログとデジタルの選択肢があることすら知らない状態で買ったドイツ鉄道の機関車がDCCだった。

当時の日本でDCCをやろうと思うと、KATOがアメリカから輸入していたDigitraxを導入するのが一番手っ取り早く、価格も安かったので、D101というコマンドステーションを買って走らせてみた。
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↑これがD101。
走ったけど、アドレスとかCV値とか、どうやって操作するのかよくわからない、聞く人もいないので、日本でDCCが流行るのを待つことにした。

あれから10年。
日本では相変わらずDCCが普及していない。
なんでだろう。

日本では大きなレイアウトを所有できる人は限られているのが現状で、みんな狭い空間で鉄道模型を楽しむしかない。だからこそDCCってすごい可能性を秘めていると思う。

例えば長さ2m程度のモジュールレイアウトでは、アナログだとただ行ったり来たりするだけですぐに飽きてしまう。DCCならサウンドやライト、室内灯の制御、超低速運転が楽しめる。
慣れてくれば、自動運転やポイント、信号機の自動制御も比較的簡単にできる。

そうなると、長編成のセットなんていらなくて、鉄コレで十分だったりする。

省スペースレイアウトでサウンドを轟かせながら走る単行列車。
まさに日本の住宅事情に適っていると思う。

私の模型仲間の作品をいくつか見てもらいたい。

↓JR浜松さんのクモハ12

↓Nardiさんのキハ40-500

↓同じくNardiさんのC11

いかがでしょうか?この臨場感。
一度デジタルサウンドを経験してしまうとKATOのサウンドボックスでは満足できなくなるでしょう。

しかも、同一線路上で複数の車両を個別に制御できてしまうから、遊び方は無限に広がっていく。
こんな面白いおもちゃはないと思う。

それなのに日本でDCCが普及しないのはなぜなの?

この10年の間、色々な人にDCCを勧めた結果返ってきた意見は概ねこんなものだった。

DCCをやらない理由は
1.難しそう
2.金がかかる
3.今さらアナログからデジタルに移行できない
と言うことらしい。

「1.難しそう」
についてはほとんど誤解だと思う。操作はアナログとほぼ一緒だし、むしろ配線はアナログよりシンプル。
何が難しいって、アナログ車両にデコーダーを搭載する作業。
しかし、これはメーカーがやらないからダメなんだと思う。
欧米では製品としてDCCsoundモデルを売っているので、買ってきて線路に置けばそのまま遊べる。
つまり、難しいと言うより日本の鉄道模型メーカーがサボってるだけ。

「2.金がかかる」
については、その通り。
DCCで遊ぶためにはアナログ車両の価格にデコーダー、スピーカー等の価格が加算される。
ヨーロッパメーカーでのアナログ車とデジタル車の価格差は7千円から1万円といったところだろうか。
それからアナログ用パワーパックではなく、DCC用コマンドステーションが必要になる。
これが高い。
メーカーやスペックによってピンキリだけど、日本でコマンドステーションを手軽に購入できるのは冒頭に記述したDigitrax社のもの。現在販売しているD102の価格はKATOのホビセンで2万6000円ほど。
KATOのスタンダードSXが4200円、TOMIXのTCSパワーユニットN-1001-CLが9800円だからアナログより全部で3万円ほど金がかかることになる。
しかも充実の機能や高い操作性を有するroco社のz21やESU社のEcosを選ぶなら5万から10万は覚悟した方がよい。
このハードルは確かに高い。

「3.今さらアナログからデジタルに移行できない」
DCCに興味を持つ人の大半がアナログヘビーユーザーである。
数百両のアナログ車両を所有しており、これを全てデジタル化するにはデコーダー設置など膨大な資金を必要とするし、中にはデジタル化できない車両もある。
そうなるとデジタルへの移行を諦めざるを得ない。

これでは日本でDCCが流行るわけがない。

じゃ、どうやったら流行るのか?
ここからは完全に私見。
ずばり、日本のメーカーがDCC標準規格であるNMRAに準拠したデジタル鉄道模型を製品化するしかないと思う。
そんなの当たり前だと思うかもしれない。でも、その当たり前ができていないのが今の日本の現実。
KATOがDCCフレンドリー車両を販売して簡単にデジタル化できるようにしたけど、ただのDCCだけじゃダメでDCCsoundじゃなきゃ絶対に市場はついてこないと思う。
KATOがDCCでコケたのはまさにそこだと思うし、KATOもそれがわかっているからサウンドボックスなるものを開発したんだと思う。
音が出るって本当にカッコいいからね。
アナログユーザー向けにサウンドボックスがあってもいいと思うけど、どうせ音源を作るならDCCsoundを展開して新たなユーザーの開拓をすべきだ。
新しい鉄道模型の形を提案して、メーカーとしてしっかり情報発信するべきだ。
だって世界はもうDCCが当たり前なんだから。
しかも最近は欧米のショップでもKATOやTOMIXを取り扱っているし、KATOなんかは大々的に欧米進出しているんだから、なんで独自にサウンドデコーダーを作らないんだろう、なんで車載しないんだろう。
メーカーがサウンドデコーダー搭載車さえ販売してくれれば、少しずつDCCユーザーも増えてくるし、次第に鉄道模型の主流はDCCsoundになるんだと思う。
だって、DCCsoundにはそれだけの魅力があるから。
多少値段が高くても、値段以上の価値があるし、あれだけ遊び倒せる機能があれば飽きもこない。
さらに、今では高価なコマンドステーションの問題はDesktopStationが解決してくれる。
z21やEcosに負けないクオリティを持つDSair2は、周辺機器付属の完成品が2万7800円、本体のみのキットだと1万5800円だからDigitraxのD102より圧倒的に得だ。
↓購入やファームウェアのダウンロードはこちらから。

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↑これがDSair2のキット。
基盤に部品をハンダ付けするだけ。

↓組立てや設定はこちらの動画参照。

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↑完成。

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↑コントロールはスマホやタブレットでブラウザを開くだけ。
アプリ等のインストールは一切不要。

こんないいものがあるんだから、日本のメーカーは今こそDCCsoundモデルを製品化するべきだ。

しないんだよね、これが。
どんな理由があるか知らないけど、こんな寂しいことはないよね。

今の日本では、DCC電子工作連合の方たちの頑張りに頼るしかない。

私はユーザーの一人として、ヨーロッパメーカーの製品やDCC電子工作連合の方々が展開する機器を用いてDCCの魅力を発信しようと思う。
とりあえず屋根裏のレイアウトを開通させることが当面の課題で、その後はDesktopStationのDSair2やDSmainを使ってシステムを構築する。
ポイントやアナログ車両はnuckyさんのワンコインデコーダーで工作する。
そして、情景重視のレイアウトを動画撮影してDCCsoundという新しい鉄道模型の魅力を発信していこう。

いつか日本のメーカーがDCCを無視できなくなるまで頑張ってみたい。

ではまた!

追伸、JR浜松さん、Nardiさん、DCC電子工作連合さん、yaasanさん、勝手にリンクを貼ってしまってすみません。

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Yaasan

ご紹介いただきありがとうございます!

私もドイツの機関車(DCCとMarklinMotorolaの両対応のPIKO)をドイツで買ったのが模型の始まりで、子供の頃にアナログで遊んでいたことも全く同じです!

活動内容がほぼDCCメーカーなため、模型メーカーと接点も無いこともないですが、やはりユーザー側のDCCを知らないことの影響があまりにも大きいと思う次第です。

海外の模型に触れていない人が大多数なのも要因と思います。私自身、海外の模型をデスクに飾るつもりで買ったら(この時点でコレクターになりかけていました)、デジタル制御ということを知って度肝を抜かれたわけでして(汗)、そのままずるずると、DCCの機器を作る側に気づいたら周っておりました。

つまりは、国内でDCCに触れる機会がない、話ができる場がほとんどない、ということも大きいと感じます。また海外型を手に入れるのも、専門のショップに行かなければ手にすることもないわけですし、その値段は、現地の価格を知っていればそれほどでもないですが、国内のショップだけで見ると、おいそれと買える金額でもありません。

過去にDCCのブームが何度かありながらも、それをうまく立ち上げできなかったのは、いくつかの敗因があると思いますし、その中の何点かについては、カバーする技術や製品はおおよそ、DCC電子工作連合メンバーの積極的な開発によって整いつつあると思います。

最近は一通り一巡してしまった感がありますが、いろいろとテーマを取り上げて、盛り上げていければと思います。今後共、よろしくお願いいたします。
by Yaasan (2019-04-07 21:49) 

Nardi(The Nameless City)

リンクありがとうございます!
じゃんじゃん勝手に貼っちゃってください!

おっしゃる通り日本ではまずDCCがどんなものかが周知されていません。
検索するといまだに
DCC=自動制御、DCC=音が出る、DCC=改造が必要
くらいにしか思っていない人が多いです。

Gutさんと同じく欧州型から本格的に鉄道模型を始めた人間としてはその浅い認識に驚きました。
しかし仕方がありません、業界をリードすべき大手メーカーがそういう印象にしてしまったのですから。

大手メーカーはNEM/NMRA端子をつけるだけで無限の可能性が広がったはずのDCCを自ら無視し、新規金型をうたい文句に発売してもDCCフレンドリーにすら対応していないなど完全に未来を閉ざしてます。
DCCで出来る事は無限大なのにその可能性すらないので、せめてDCCに対する間違った認識を正していけるように鉄道模型の楽しさを伝えて行こうと思います。

またGutさんの巨大なレイアウトがその指標にもなると思うので楽しみにしています!
とは言え焦らずゆっくりで!
by Nardi(The Nameless City) (2019-04-07 22:17) 

Gut

yaasanさん、コメントありがとうございます。
そして、DSair2は本当に優れものですね。

鉄道模型ファンにDCCの知識がないのは本当に問題で、それを大手メーカーが何ら問題視していないところが絶望的です。私には大学生の甥っ子がいて子供の頃から鉄道模型をやっていますが、DCCについては聞いたことがある程度なんです。理系なのに。
だから、知ってもらう、実物を触ってもらう、みたいな場所がたくさんあるといいですよね。
私も趣味の延長でDCCの魅力を発信できればと思っていますので、これからも色々教えて下さい。
by Gut (2019-04-08 06:25) 

Gut

Nardiさん、コメントありがとうございます。
私のレイアウトが指標だなんて緊張しちゃう。もっと真面目に作らなきゃ。笑
DCCに対する誤った認識はメーカーの戦略にあったと思います。DCCは既存のアナログ車両にデコーダーを取り付けて遊ぶものではなく、デコーダー付きの車両を買ってきて遊ぶものです。
消費者は買ってきてすぐに使えるものを買います。
買ったあと、改造や設定が必要なものは、一部の好きな人しかやりません。
だからデジタルサウンド付きの車両をドーンと売ってしまえば良かったんだと思います。
問題は価格ですが、DCCの魅力をちゃんと発信すれば、出す人は出すと思います。実際、少なくない出す人が海外から商品を購入しているわけです。
私はDCCの発展に貢献したいのかどうかわかりませんが、DCCを楽しむためにはもっと発展してもらわないといけないので、頑張っていきたいと思います。
by Gut (2019-04-08 06:46) 

Gut

Akiraさん、niceありがとうございます。
by Gut (2019-04-08 06:46) 

ジュンパパ

Gutさん、ご無沙汰です。
仰るDCC論 正にその通りかと思います。
リンクされているサウンド車両の動画はHO(16番とかややこしい呼び名は爺好みでは無いのでHO)だと思いますので、デコーダー等の搭載は楽だと思いますが、Nでサウンドをやると先ずはデコーダー&スピーカー搭載スペースをひねり出すのに一苦労です。
機動車の窓からデコーダー丸見えじゃ音が出ても興ざめですしね、苦労してますが、サウンド化すると元へは戻れません。是非GutさんもサウンドDCCの世界に浸って下さい。
Gutさんの様な大レイアウトなら別でしょうが、当鉄の狭小レイアウトでは色々な所からディーゼルのアイドル音や蒸気停車中の音などが鳴って居ると結構うるさく感じてしまう事も有ります。

爺が勝手に考える日本メーカーがDCCをやらない理由の一つは、Nゲージの対象年齢(KATO:8才、Tomix:15才)が低く安全を担保出来ない事も有ると考えています。
DCCは電源ONで基本全線路にAC12Vを供給する様になっていますので、電源ONで左右線路に手を置くと感電(ピりっときます)するので注意が必要です。子供には危険かも。
又、脱線等に気付かず車両を放置すると車輪や車軸の金属部が高温となりプラ部品が溶ける事が有ります。(Zの時に溶かした事が有ります)部品が溶けるだけならまだしも、最悪火が出ないとも限りません。
Zの時線路ショートで慌ててしまい、D101の基板を燃やした経験も有りますし、ACアダプタの内蔵ヒューズも5回ぐらい飛ばしてます。
超々文、失礼しました
by ジュンパパ (2019-04-08 14:37) 

がおう☆

こんばんはです。
私もGutさんにDCCを勧めていただいた一人ですが、やはり2・3番の理由で二の足を踏んでしまいます。
ただ欧州型は特にそのままサウンドなどのギミックが付いたものが売られています。
そこが一番の要素だと思います。
Nサイズの改造なんて、ディテールアップにせよ何にしても大変です。
DCCサウンド付なんてのが発売されたら、考えが変わると思います。
これはKATOだけではダメで、日本のメーカー自体が競ってくれないと・・・
by がおう☆ (2019-04-08 19:14) 

Gut

ジュンパパさん、nice、コメントありがとうございます。
紹介した動画はHOです(私も16番ではなくHOと呼びます)。
Nゲージでサウンドデコーダーを載せちゃうジュンパパさんは、私の憧れでございます。DCCを知ってからしばらくの間はジュンパパさんのブログでDCCについて学びました。
ジュンパパさんも日本メーカーは子供向けNゲージを展開していると感じますか。私もやることが子供騙しだなぁと感じて仕方がありません。日本メーカーだって欧米メーカーに負けない素晴らしい部分を持っているんだから、ちゃんと大人向けでも勝負してもらいたいですよね。
by Gut (2019-04-08 19:16) 

Gut

がおう☆さん、コメントありがとうございます。
やっぱりデジタルサウンドモデルが発売されたら、欲しいですよね。
値段はアナログより上がるけど、それ以外の満足感を得られると思います。
だから、日本でも絶対にDCCsoundは人気が出ると確信しているんです。
このままだと、日本のメーカーは駆逐されてしまうのではないかと心配になります。
by Gut (2019-04-08 21:42) 

Gut

mayuさん、ネオ・アッキーさん、あおたけさん、ありささん、masato-marklinさん、マルコメさん、niceありがとうございます。
by Gut (2019-04-15 06:09) 

JR浜松

かなり出遅れてしまいました。
リンクありがとうございます!
NゲージですがJR浜松鉄道時代にDCCを知ってからというもの所有している中でDCC化出来そうなものと新製品に次々デコーダーを搭載して行きました。振り返ってみると最初は何故か全ての車両をDCC化しなければいけないような錯覚?ともとれる思考に走ってしまいました。長い目でみても資金的にこの時点で百諭吉以上必要になって来ます。結果的にはDCC化に向かない?マイクロエースの車両を4台以上燃やしてモーター周辺パーツが溶けてダメになりました。

経験から思うに最初からDCCで始めた場合は別としても、アナログヘビーユーザーが始める場合は一部の気に入ったDCCに向く車両から始める事が肝心と感じます。まずは様子見からでも『やってみる』事だと思います。アナログ車両と同一線上で走行さえしなければ楽しむ事が出来ますからね。仰るようにDCC化するのならばサウンド搭載しなければ魅力半減ですね。
欧州型Nゲージは持っていないので分かりませんが、日本型車両は超小型スピーカーの設置スペースとか工夫しないと出来ません。

当初からNゲージ車両にサウンド搭載を夢みて来ましたがHOを初めてみた現在、国産に限っては向いているのはHOだと感じています。最近は安価なプラ製車両が多く出回るようになりNからHOを始められる方が増えて来ていると思います。(私がそうです)DCCサウンドの魅力である小スペースでも楽しく遊べるレールセット(プラン集)やモジュールないし小レイアウトを作ってみると面白そうですね。

Nardiさんが仰っていたKATO ICE4が欧州で売れてサウンドの要望が高まってくれば国産メーカーの考え方も変わってくるかもしれませんね。
by JR浜松 (2019-04-15 09:22) 

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